アビガン〜新型コロナへの効果、特徴、作用機序、副作用などについて

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新型コロナウイルス感染症の特効薬と期待されてる薬の報道はカオスと化しています。

 

漢方では清肺排毒湯が話題になっていますが、今回は漢方ではなくアビガンについてです。

 

アビガンは商品名で一般名はファビピラビルといいます。国内では今月中の承認に向けて動いているようですが、どのように効くのか、副作用では何に気をつけたら良いのか、今行われている研究の問題は何かについて説明したいと思います。

 

ちなみにいま進められている研究は「SARS-CoV2感染無症状・軽症患者におけるウイルス量低減効果の検討を目的としたファビピラビルの多施設非盲検ランダム化臨床試験」です。

名前だけを聞くとよくわかりませんが、

今回の試験は、2019 年末に中国武漢から流行し始め,日本を含む世界各国でも流行している新規コロナウイルス(SARS-CoV2)による呼吸器感染症(COVID-19)に対する「ファビピラビル」の有効性を及び安全性を調べることを目的としています。 有効性については、「ファビピラビル」を 1 日目から 10 日間服用するグループ(投与通 常開始群)と、6 日目から 10 日間服用するグループ(投与開始遅延群)に分け、6 日目 のウイルス消失率を調べます。

 

というような試験です。投与スケジュールはこんな感じです。

アビガン,説明同意文書

現在試験中ですが、その解析結果を待ちたいと思います。

 

さて、まずアビガンはどのように効くかというところからですが、アビガンはウイルスがRNAを複製を阻害します。

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アビガンインタビューフォームより

RNAの複製にはRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)という酵素が必要になるのですが、伸長に必要とする材料(アデノシンやグアノシン)と間違ってアビガンを取り込むことで、RNAの合成が止まります。

アビガンはほとんどのRNAウイルスの合成酵素に対して効果があり、また耐性を生じにくいとする報告があります。

 

薬の代謝・排泄には「腎臓」と「肝臓」が関係します。

腎臓からの未変化体の尿中排泄率はわずかで、腎排泄寄与は小さいです。

肝臓からは主代謝物(M1)への代謝にはアルデヒドオキシダーゼ(AO)が主に関与します。AOに作用する薬もあるため他の薬を服用している方は飲み合わせに注意が必要です。

肝機能障害がある方は血中濃度が上がりますので服用には注意が必要です。

 

副作用についてですが、催奇形性が報告されています。

ラットで初期胚の致死及びマウス、ラット、ウサギ、サルで催奇形性が認められており、母乳や精液にも移行するとしています。

これらのことから妊活中、母乳での育児中の方にアビガンを使うのは難しいとされています。

また小児には使用経験がほとんどありません。あまりメディアでも取り上げたり説明がありませんが、未妊婦・若年女性の卵巣への影響については未だ不明です

アビガン審議結果報告書によれば幼若イヌ、幼若ラットでは肝細胞の変性及び壊死、心乳頭筋の変性及び壊死、骨格筋線維の萎縮及び変性又は歩行異常などの幼若動物に特有の毒性所見が認められたとする報告があります。

またサルにおける 2 週間経口投与試験で、生殖器への影響は見られなかったとしていますが、ラットにおける 1 カ月経口投与試験では、下垂体、唾液腺、胸腺、腎臓、副腎、精巣、精巣上体及び卵巣重量の減少が認めらたとの報告があります。

このことから、妊娠が可能な女性において、服用後の長期的な影響についてはわかっていません。

このほかの副作用については、承認用法及び用量より低用量で、100例/501例(19.96%)に認められています。血中尿酸増加24例(4.79%)、下痢24例(4.79%)、好中球数減少 9 例(1.80%)、AST(GOT)増加 9 例(1.80%)、ALT(GPT) 増加 8 例(1.60%)等でした。

このほか、「重大な副作用」として

(1)ショック、アナフィラキシー
(2)肺炎
(3)劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
(4)中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(5)急性腎障害
(6)白血球減少、好中球減少、血小板減少
(7)精神神経症状(意識障害、譫妄、幻覚、妄想、痙攣等)
(8)出血性大腸炎

が挙げられていますが、他の抗インフルエンザウイルス薬で認められたとして、「潜在的リスク」として記載しているものですので注意してください。

 

今回は「観察研究」であり効果の評価が難しい研究です。この研究では、使った人と使わなかった人で比較ができませんので本当の効果がわかりにくくなります。

 

例えば

「アビガンを投与したら、感染症の症状が改善した」

という事実があれば、アビガンが新型コロナウイルス感染症に効果があるんだ!と思ってしまいがちですが、この前後関係ではアビガンが新型コロナウイルス感染症を改善するという根拠にはなりません。

なので、様々な研究が必要になるわけですが、この前後関係を因果関係があるとするためにはきちんとデザインされた研究(ランダム化比較試験など)が必要となります。

前後関係を因果関係と誤ってしまうことを「前後即因果の誤謬」といいますが、これで薬を使うと大惨事になります。

現在、藤田医科大学が研究を進めているのでひとまずはその結果を待ちたいと思います。

アビガンが多くの患者に効いたメディアが報じており期待値が高まっているところですが、観察研究には限界もありますので注意が必要です。

現場で治療に携わっている人たちとメディアの間に温度差を感じるのはこのためです。

緊急性が高くても間違ってデータを解釈してはいけませんし、間違って薬を使ってはいけません。

これらの心配を払拭するデータが待たれます。特効薬ができるまでは(もちろんできた後でも)漢方でできることがありますので何か心配を抱えている方はご相談ください。

タナココ

 

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