新型コロナウイルス感染症治療薬の新たな候補「カモスタット」

「薬局で買える薬なの?」というお問い合わせが続いているので、簡単ですが説明したいと思います。

最近「シクレソニド」とともに「カモスタット」が話題になっているようです。

日本では先発品は「フオイパン」として発売されている薬です。ジェネリックはたくさん発売されています。

「シクレソニド」と同様に「カモスタット」は「処方箋医薬品」ですので、薬局では購入することはできません。

 

日本で「カモスタット」は

・慢性膵炎における急性症状の緩解

通常1日量カモスタットメシル酸塩として600mgを3回に分けて経口投与する。症状により適宜増減する。・術後逆流性食道炎

通常1日量カモスタットメシル酸塩として300mgを3回に分けて食後に経口投与する。

に使用します。


さて、このカモスタットですが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の肺の細胞への侵入を阻害する可能性があるとの報告がありました。


SARS-CoV-2はヒトの細胞に侵入する際、どこからでも侵入できるわけではありません。ウイルスにはトゲ(スパイク)があり、侵入するためにはこれがくっつくことができる場所が必要です。

新型コロナウイルスCDCより引用

ヒトの細胞でSARS-CoV-2がくっつく場所は分かってきています。トゲはヒトの細胞膜上のアンジオテンシン変換酵素II(ACE2)受容体にくっつきます。


また、トゲがくっつく際にはトゲを活性化させる必要があります。SARS-CoV-2はトゲを活性化させるためにヒトの細胞膜にあるセリンプロテアーゼ TMPRSS2(酵素の1種)を利用します。

新型コロナウイルス感染様式

Medical pressより引用

トゲが活性化したら先ほどのACE2受容体にくっつき細胞内に侵入します。

カモスタットは酵素の作用を阻害する働きがあります。SARS-CoV-2のトゲを活性化する酵素の働きを抑えることで、結果としてSARS-CoV-2は細胞内に侵入できなくなります

 

「シクレソニド」の作用機序は、ウイルスのRNA複製阻害

「カモスタット」の作用機序は、ウイルスのプロテアーゼ阻害

 

それぞれ作用機序が異なりますが、COVID-19の有効な治療薬の候補とされています。

また中国での報告から「クロロキン」への期待も高まっており、SARS-CoV-2への作用も報告されています。

 

ここへ来て、いろいろ治療薬の候補となる薬の臨床試験が始まっています。期待して待ちたいと思います。

 

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