新型コロナウイルス感染症と嗅覚障害・味覚障害

まだ、はっきりわかっていないことも多いのですが、新型コロナウイルス感染と嗅覚障害・味覚障害の関係について話題になっています。


新型コロナウイルス感染症かもしれないと受診しても発熱があればすぐには診察をしてもらえなかったり、自宅で経過観察中で薬などもない中で、漢方でできることはないかと問い合わせが多いです。

その中で、発熱や頭痛、喉の痛み、肺の圧迫感などの症状以外に、食べ物の味・匂いが感じにくくなったという訴えもありました。

当初は風邪をひいた時の感冒後嗅覚障害の影響かとも思っていましたが、その様な相談が続いたということと、今月頭の神奈川県の感染者の報告で「頭痛、味覚障害で県内医療機関A受診」という記載を見てからすこし引っかかっていました。

しかし、中国からの報告では話題になっていませんでしたので、新型コロナウイルス感染症に特徴的なものではなく、たまたまだったのか?と思っていたところ、「味覚障害・嗅覚障害」を訴えるツイートが相次いだため、やはり関係があるのかもしれないと思い、調べていたところ、英国の耳鼻咽喉科学会(ENTUK)からも嗅覚や味覚障害が新型コロナウイルス感染の兆候の可能性があると掲載がありました。

 

感冒後嗅覚障害(postviral olfactory dysfunction, PVOD)は、 上気道のウイルス感染罹患後に上気道炎症状が消失したあとも嗅覚障害が持続する状態と定義されています。

感冒後嗅覚障害は嗅粘膜、嗅覚伝導路に感染が起こり組織を障害したり、またはウイルスに対する免疫応答が2次的に嗅粘膜を障害して起こると考えられています。神経性のもので、原因ウイルスとしてはライノウイルスが主要原因と推測されていますが、感冒後嗅覚障害患者の鼻汁の RT-PCR による解析ではライノウイルスの他、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、EB ウイルスが検出されています。

そして嗅覚脱失の約4割をこの感冒後嗅覚障害が占めています。そして原因ウイルスにはコロナウイルスが含まれています。

 

先ほどの英国の耳鼻咽喉科学会の報告では、韓国、中国、イタリアでは、COVID-19によりかなりの患者さんが嗅覚障害を発症しているとしています。

さらにドイツでは、確認された症例の3人に2人が嗅覚障害があるとしており、検査が普及している韓国では、陽性例の30%に嗅覚障害が見られたとしています。

そして無症状の場合でも、嗅覚障害や味覚障害がみられるケースもあることから無症候感染者を特定するスクリーニングツールとして使える可能性があるとしています。

無症状でも嗅覚障害が見られた場合、7日間自己隔離することで、無意識に新型コロナウイルスのベクターとして行動し続け、感染を広げる可能性を減らすことができるかもしれないとしています。

 

嗅覚障害・味覚障害がどの程度の感度・特異度を持つか今の所わかりません。

 

嗅覚障害・味覚障害が見られた時点でのPCR検査は現実的ではありませんし、そもそも先行して見られる症状なので、西洋医学で対処することは難しいです。効果的な薬が見つかり、予防投与が出来ると良いのですが、未だその様な状況にはありません。

 

連花清瘟という中国で使用されている漢方薬に抗ウイルス作用があるとする報告があります。日本にある処方で内容を近づけることができますが、果たしてどこまで効果があるか未知数です。

漢方を用いる際は、弁証論治といって中医学における診断・治療法を示す方法論を用いて、四診といわれる望聞問切で構成された手法により患者や疾病の情報を収集、統合、分析して診断と証の分類を行い処方を決定することが前提となります。

しかし、この様な現状では難しいことも多いため、上記の処方を試すのも一つの方法かと思います。もし嗅覚障害・味覚障害が起こった時点で対処することで、うまくいけば超初期で症状を悪化させずに済むかもしれません

 

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