肥満と漢方〜よく使われる処方について

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

「肥満症」は様々な病気の「入口」になります。

そのため「肥満症」は治療する必要がある疾患として『肥満症診療ガイドライン2016』が作られています。

ガイドラインには、 人間ドック・健康診断の受診者15万人以上を対象として、心血管疾患危険因子である糖尿病や高トリグリセリド血症、 低HDL-C血症、高血圧について、BMI22の有病率を1としてオッズ比を算出したところ、BMI25では高トリグリセリド血症が1.99倍、 低HDL-C血症が1.89倍、 高血圧が1.67倍になると記載があります。

 

肥満症は治療すべき疾患ですが、肥満はその一歩手前ですので注意する必要があります。

 

肥満を解消する漢方として有名な処方があります。

CMを見たことがある方も多いと思います。処方名としては「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」ですが、防風通聖散は、もともと中国金代(1115~1234年)劉完素が記した「黄帝素問宣明論方」の処方で、「辛温解表、清熱解毒、瀉下、利水」を目標に使います。表に寒、内に熱があるめ、これらを汗や便として排泄し、体内の環境を正常にするとされている処方です。これがどうして肥満に使われるようになったかと言いますと、日本での使われ方が発端になっています。

日本では、「食毒と水毒のある者に用いるべし」として、一貫堂医学の森道伯が好んでこの処方を使いました。この一派は「臓毒(ぞうどく)」という概念を用いて、飲食の不摂生で体内に溜め込んだもの=脂肪をこの処方で体の外へ排泄しようと考え、「防風通聖散」は「臓毒」=「脂肪」を取り除く処方として用いられるようになりました。

防風通聖散は、便秘があって、のぼせ、化膿しやすい皮膚炎、汗をかきやすく、お腹がいわゆる「太鼓腹」の場合の肥満に使うと良いとされています。

もちろんこれを飲むだけで痩せるわけではなく、このほかにも養生が重要で、食事内容の見直しや、運動の習慣を取り入れることで、漢方で作った下地が生きてきます。

なんとか痩せたい、漢方を使って体の内部環境も整えたいという方は養生を組み合わせることで、効率よく痩せることができます。

 

防風通聖散以外にも使われる処方がいくつかあります。

上腹部や胸脇部の苦しさ、圧痛があれば「大柴胡湯(だいさいことう)」が使われます。ストレスによる過食があれば、ストレスを緩和する処方でもあるため、ストレス → 過食の流れを改善するのにも役立ちます。

このほかいわゆる「水太り」タイプで、汗をかきやすく、むくみやすい場合は「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」が使われることがあります。体の分な水分を排泄しやすくします。

肥満によく使われる処方はその処方自体というよりは、その人の肥満になりやすい体内環境を是正することで、痩せるための道筋を作っていくような使い方が中心です。

適度な運動と食事管理と合わせて漢方を使用するとより効果的ではありますが、あくまでも漢方は補助的な役割でしかなく、基本は養生です。

痩せたい、痩せるために何かをしたい場合は、まずは環境を見直し、養生を心がけた上で漢方を試していただくと効果がしっかり出てくると思います。

 

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